朱色×常盤緑×胡粉色

朱色・常磐緑・胡粉色の組み合わせは、日本の正月行事や祝いの席で長く使われてきた色の取り合わせです。

漆塗りの重箱、神社の社殿、祝い膳の器など、年のはじまりを彩る風景の中に、この配色は自然と溶け込んでいます。

それぞれの色には、単なる装飾を超えた祈りや願いの意味が込められてきました。

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朱色23178210%70%95%5%#B62B34
胡粉色2462442375%5%10%0%#F6F4EE
常磐緑521274560%0%65%50%#347F2D
配色使用例

朱色 ― 災いを遠ざけ、慶びを告げる色

朱色は、日本文化において魔除けと祝福を象徴する特別な赤です。

古くは辰砂(しんしゃ)を原料とする朱が用いられ、その鮮やかさと強さから、

邪気を払う色として神社仏閣や祭礼、器物に広く使われてきました。

神社の鳥居や社殿に朱色が多く用いられているのも、

神域を清め、災いを防ぐという意味があるためです。

また、祝いの席で朱塗りの盃や重箱が使われるのは、

  • 「赤=命の色」「赤=再生の色」として、慶事にふさわしいと考えられてきたからでした。

正月に朱色が用いられるのは、新しい一年を健やかに迎え、

災いなく過ごせるよう願う、日本人の祈りの表れといえるでしょう。

胡粉色 ― すべてを清め、はじまりを迎える白

胡粉色は、貝殻を原料とした胡粉から生まれた、

やわらかく温かみのある白です。

日本の白は、単なる無彩色ではなく、

清浄・再生・余白を意味する色として扱われてきました。

胡粉は日本画や能面、仏像の下地にも使われ、

穢れを祓い、物事をまっさらな状態に戻す役割を担ってきました。

正月に白が重んじられるのは、

一年の汚れをリセットし、新しい年を清らかな気持ちで迎えるため。

胡粉色のやさしい白は、冷たすぎない「人のための白」として、

祝いの器や室礼に取り入れられてきました。

常磐緑 ― 変わらぬ繁栄を願う色

常磐緑は、冬でも色あせない松の葉に由来する色です。

一年を通して変わらぬ緑は、不変・長寿・繁栄の象徴とされ、

正月飾りや松竹梅の意匠にも欠かせない存在です。

朱色の華やぎと胡粉色の清らかさを、

常磐緑が静かに支えることで、配色全体に安定感が生まれます。

配色に込められた意味

この三色の組み合わせは、

単なる「正月らしい色」ではありません。

  • 朱色:災いを祓い、慶びを招く
  • 胡粉色:すべてを清め、新しい始まりを整える
  • 常磐緑:変わらぬ繁栄と生命の力を支える

それぞれの役割が重なり合い、

一年の無事と幸福を願う色の構成として完成しています。

まとめ

朱色 × 常磐緑 × 胡粉色は、

日本人が正月という節目に大切にしてきた

「祓い」「祝い」「継続」という価値観を、そのまま色にした配色です。

祝いの席を華やかに彩りながらも、

どこか静けさと品格を感じさせるのは、

それぞれの色が持つ意味が深く根づいているからなのかもしれません。


参考文献・文化的背景資料

  • 国立国会図書館デジタルコレクション 『日本の色彩文化』『日本の伝統色に関する資料』
  • 文化庁 編 日本の伝統色・伝統文化に関する公開資料
  • 国立歴史民俗博物館 日本の年中行事・正月行事に関する解説資料
  • 日本画・日本美術分野における胡粉・顔料に関する一般資料
  • 神社建築・祭礼文化に関する公知資料

※本記事は、上記の文化的背景を踏まえ、独自の解釈と表現で構成しています。

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