山葡萄が見せる3つの表情をイメージした配色をまとめてみました
秋になると、山野には山葡萄の実が色づき始めます。
房になって垂れ下がる深い赤紫の実は、古くから人々の目を楽しませてきました。
山葡萄は日本各地に自生するブドウ科の植物で、秋の実りを感じさせる存在のひとつです。
その美しい実の色は、平安時代の頃から伝統色として親しまれ、さまざまな色名を生み出してきました。
今回の配色では、山葡萄の実が見せる色の変化や、その色から生まれた文化を3つの伝統色で表現してみました。
深い赤紫の葡萄色。
温かみのある葡萄茶。
落ち着きをまとった葡萄鼠。
すべて「葡萄」の名を持ちながら、それぞれ異なる表情を見せてくれる組み合わせです。
葡萄色(えびいろ)
葡萄色は、熟した山葡萄の実を思わせる深い赤紫色です。
現在では「葡萄」と書くとブドウを思い浮かべますが、この色名の由来は山葡萄の古い呼び名である「エビカズラ」にあります。
そのため、「葡萄色」は古くから「えびいろ」と読まれてきました。
平安時代にはすでに用いられていた色名で、王朝文化の中でも親しまれていたとされています。
深みのある赤紫は華やかさを持ちながらも落ち着きがあり、古典文学の世界にもたびたび登場します。
今回の配色では、山葡萄の実そのものを表す色として選びました。
3色の中で最も存在感があり、全体の中心となる色です。
葡萄茶
葡萄茶は、葡萄色に茶の要素が加わったような深い赤茶色です。
同じ「えびちゃ」と読まれる海老茶と共通する色として扱われることもあり、こちらも山葡萄の色に由来しています。
明治時代には女学生の袴の色として広く親しまれました。
当時の女学生たちの姿を象徴する色として定着し、新しい時代を生きる女性たちのイメージとも重なっています。
平安時代に生まれた色が、時代を超えて明治の文化の中でも愛されたことを考えると、色の歴史の面白さを感じます。
今回の配色では、葡萄色と葡萄鼠をつなぐ色として取り入れました。
温かみを持ちながらも落ち着いた色合いが、配色全体に親しみやすさを与えています。
葡萄鼠
葡萄鼠は、葡萄色に灰色を重ねたような落ち着きのある赤紫色です。
江戸時代に広まった「四十八茶百鼠」と呼ばれる色彩文化の中で親しまれてきた色のひとつとされています。
華やかな色をそのまま使うのではなく、少し灰みを加えることで上品さを生み出す。
そんな江戸の人々の美意識が感じられる色です。
山葡萄の実が持つ鮮やかさを残しながらも、どこか静けさを感じさせる色合いが特徴です。
今回の配色では、全体を落ち着かせる役割を担っています。
葡萄色や葡萄茶の温かみを受け止めながら、秋らしい深みを添える色です。
配色として
熟した山葡萄の実を思わせる葡萄色。
温かみを帯びた葡萄茶。
静かな品格を感じさせる葡萄鼠。
3色はいずれも、山葡萄というひとつの植物から生まれた伝統色です。
しかし、その背景には平安時代の宮廷文化、江戸時代の色彩文化、明治時代の女学生文化など、それぞれ異なる時代の物語が息づいています。
同じ山葡萄の色を見つめながらも、人々は時代ごとに異なる美しさを見出してきました。
そんな歴史の積み重なりを感じながらまとめた配色です。
秋の収穫をテーマにしたビジュアルや、落ち着きのある和テイストのデザイン、ヴィンテージ感のあるブランディングなどにも取り入れやすい組み合わせです。
参考文献
- 葡萄色(えびいろ)|伝統色のいろは
https://irocore.com/ebi-iro/ - 葡萄茶(えびちゃ)|伝統色のいろは
https://irocore.com/ebicha/ - 「葡萄」をブドウと書いてエビと読むの!?伝統色【葡萄色】の由来|PeX
https://pex.jp/point_news/073e5886a11dd50ca561fbb8bf40ad84 - 葡萄色|Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/葡萄色

