萌葱色×承和色×白練

平安の重ね色目「白菊・葉菊」から生まれた配色をまとめてみました。

9月9日は「重陽(ちょうよう)の節句」。奈良時代から続く、日本最古の行事のひとつです。

とはいえ、現代ではあまり馴染みがないかもしれません。ひな祭りや端午の節句と同じ「五節句」のひとつで、菊の花を愛でながら長寿を願う日です。この日は「菊の節句」とも呼ばれ、かつての宮廷では菊の花びらを浮かべたお酒(菊酒)を飲む慣習がありました。

そんな重陽(ちょうよう)の節句に合わせて、今回は「菊」をテーマにした配色をまとめました。

今回の配色は新たに「重ね色目(かさねいろめ)」を使った配色を取り入れました。

重ね色目とは、着物の表地と裏地の色を組み合わせることで、花や木々など自然の姿を体で表現する配色の考え方です。

たとえば「紅梅」なら表に淡い紅、裏に白。「松」なら表に深緑、裏に白——というように、テーマとなる植物や季節をイメージした2色の組み合わせに、ちゃんと名前がついていました。

平安時代の貴族たちは着物の「重ね色目(かさねいろめ)」という文化を大切にしていました。

9月の菊の季節には、「白菊」や「葉菊」という重ね色目が用いられました。

白菊:表地に白、裏地に萌木(もえぎ) 葉菊:表地に萌木(もえぎ)、裏地に白

白い花びらと、それを支える深い緑の葉。この2色の組み合わせが、着物一枚の中に菊の姿を映し出していたのです。

今回の配色は、この「白菊・葉菊」の2色に、菊の黄色を加えた3色で構成しています。白い花びら・深緑の葉・黄色い花——菊を一輪まるごと色で表現した組み合わせです。

スクロールできます
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承和色230180340%25%85%10%#E6B422
白練2432432420%0%5%5%#F3F3F2
萌黄色1521856520%0%65%25%#98B941

承和色(そがいろ)

承和色は、菊の花のようなやや緑みを帯びた、くすんだ黄色です。

平安時代の承和年間(834〜848年)、時の帝・仁明天皇は黄色い菊をとても愛されました。その帝の深い愛好にちなんで生まれたのがこの色名。つまり「承和色」は、菊の黄色そのものを伝統色として記録した色なのです。

9月の重陽の節句は「菊の節句」とも呼ばれるほど、菊と深く結びついた月。承和色はまさにその菊の黄を体現した、9月と切り離せない色といえます。

この配色では、一輪の菊の花そのものを象徴する色として中心に置いています。深緑と白の間で、菊の黄色が鮮やかに存在感を放ちます。

白練(しろねり)

白練は、練絹(ねりきぬ)の純白を色名にしたものです。

生絹(きぎぬ)はそのままでは少し黄みがかった色をしています。その黄みを丁寧に練り落とすことで生まれる、光沢のある純白——それが「白練」です。手間と技術の結晶として生まれた白で、古代から神聖さを象徴する色として神事の衣などに使われてきました。

重ね色目「白菊」では表地の色として使われていた「白」。菊の花びらの白を、練絹の純白で纏う。単なる無地の白ではなく、職人の技が宿った生きた白です。

この配色では、承和色の黄と萌葱色の深緑の間で、菊の花びらの清潔な光を静かに放つ色として機能します。

萌黄色(もえぎいろ)

萌葱色は、春から夏にかけて若い葱(ねぎ)の葉が萌え出るような、青々とした深い緑色です。

重ね色目「白菊・葉菊」では、裏地の色として用いられました。表の白い菊の花びらを陰から支える、葉の色です。着物の裏側という、直接目には触れない場所にまで美を宿す——それが平安貴族の繊細な感覚でした。

この配色では、白と黄色の淡い色調をしっかりと引き締める役割を担います。主役の2色を支える、大地に根を張る深い緑として機能します。

配色として

菊の花びらの白、花の黄、そして葉の深緑。

平安の重ね色目「白菊・葉菊」が着物で纏っていた色彩を、現代のデザインとして再構成した配色です。

3色それぞれに1000年以上の歴史的な根拠があり、単なるビジュアルの組み合わせではなく、日本人が菊に込めてきた美意識と季節の記憶が背景にあります。

秋のブランディング・和テイストのWebデザイン・9月のビジュアル制作など、品格と季節感を同時に表現したい場面にぜひ活用してみてください。

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